あなたと一緒に恋をする

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  (早く)  数馬が欲しい。  そう思っている気持ちを伝えるため、もっとちゃんと、もっと大胆に触ろう、と、小指のチノパンにかけ、その下肢を露わにしようとした、瞬間。  急に上体を起こした数馬に肩を掴まれたかと思うと身を返され、視界がぐるりと回り、あっと思うまもなく数馬越しに天井の照明を見る。 「…っ」  我慢できない、今すぐ、欲しい──…  そんな欲で輝く瞳をぎらつかせながらも、押し倒した僕をただ見下ろしている数馬へ微笑みかけると、 「自分ばっかり欲しがってるって思った数馬の気持ちは、僕にも分かるよ」  と話しかけながら、発熱して赤くなっているその頬に指先を伸ばし、そっと触れた。 「僕も、同じだから。 だから…恥ずかしくもなるし、照れ臭いって気持ちになるのも、分かるから。 だから」 「…だから?」 「したいと思った気持ちに、素直になって? 欲しい時は、欲しいって…言って」  欲しい、と言い切る前に、顔を寄せた数馬に唇を奪われた僕は、吐息ごと飲み込むように深く繋がるキスをくれる数馬の首に腕を絡みつかせ、熱く、深い口づけを交わした。 .
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