なけなしの

4/5
267人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「ッく、ふッ、んん、うぅっ……」 指なんか比べ物にならない。内蔵が迫り上がるような圧迫感。 未だに慣れきれず痛みすら感じる時がある。 「……ッほら、もうッ、少し。いい子だから、ね」 彼の方も軽く息を詰めている。 それだけで分かる。どこまでいっても彼は僕を甘やかす。 (変な、気持ち、ぜんっぜん、治らないじゃあないか) 嗚呼、やはり僕は。 「見てごらんよ」 「……ッ、バカッ」 全部入ったと言いたいのか、接合部を縁を指で撫でて笑った。 女じゃないのに、男を受け入れた箇所からじわりと熱と欲が広がる。 「動くね」 彼もそろそろ我慢し辛くなってきたのだろう。 一言断って、緩やかに律動を始めた。 背骨を伝って駆け上がる快感が、途端僕を甘く支配する。 「ぅっ、ん、んン、ァ、あ……っひ、ぃア」 「……ッ声」 「!! い、い、やァッ……ハァッ、あッ、……ァ、ァ」 嬌声を聞かれたく無くて、己の指を噛んで抑えていたのに。 何が気に入らないのか、彼は少し声を荒らげて僕の両手を纏めて絡めて頭上に戒めてしまった。 女みたいに隠すものなんかありゃしないのに……。 どうして全てをさらけ出され、支配されるが堪らなく羞恥を煽るのだろう。 この前の方が良かった。 王様のように偉そうに抱かれていた方が。 羞恥なんて、とうに消えてしまったと思っていたのに。 「……っん、かわい、いよ? もっと、感じて、ね?」 頼むから優しくしないで。 無意識にキスを求めていた唇を。僕自身を恥じた。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!