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「いやぁ、今日も盛り上がったなぁ!」
「だから触んなっての」
にやけ顔で肩に手を回してくる不埒な手を叩く。
ピロートークなんて真っ平御免だ。
「え~? 誠ってば淡白なんだからァ」
「うるさい、黙ってろよ」
セックスの後、ベタベタされるのは嫌い。それは女相手であっても同じなんだけど。
(元恋人にはそういう所もヒドいって言われたっけ)
やっぱり女は感情を大事にするのか。僕だって、僕なりの愛情で接していたつもりなんだけどなァ。
「ね、誠」
「んだよ」
人がせっかくまともな感傷に浸っているって言うのに。新たな混乱の元が話しかけてんじゃあないよ。
「……呼んだだーけ」
「はァ? なんだそれ」
「あははは」
(気色悪いことしやがる)
彼に背を向けて横たわる僕は、その気色悪いことで感情が上下左右に揺さぶられているというのにさ。
「まだ時間あるだろ……ちょっと寝るから」
少し疲れた、そう思って目をつぶった。
『おやすみ』
直ぐに落ちていく意識の外で、そんな声が聞こえたか聞こえないか……。
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