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「……クラス会?」
俺は、流れてきたコンビニ弁当の白米の上に焼肉を並べながら、隣の濱北望に問い返す。
「会って程、堅苦しいもんじゃなくてさぁ。あの時の仲間7、8人で、ちょっと飲もうって話だよ」
付け合わせのポテサラを入れた緑色のプラカップを、弁当の右上に器用に捩じ込みながら、彼はマスクとキャップの間の狐目をニヤリと細めた。
「俺のことなんか、覚えてないだろ」
「何言ってんだよ。お前のこと話したら、みんな会いたいって盛り上がってんだぞ」
手前の新人バイトが、もたついている。弁当1個当たり、焼肉は6枚。白米が覗かないように、肉を広げて隙間なく敷くのだ。滞留する前に、こちらに数個引き寄せる。コンベア奥に設置したバットから肉を一掴みして、パパッと並べていく。
「まーた。見せ物なら勘弁してくれよ」
「いやいやいや。お前、急に転校しただろ? 秋の運動会、楽しみにしてたのに」
バットに残る肉の量と、流れてくる弁当の数をチラと見比べる。大丈夫、足りそうだ。
「ああ……そうだな」
「よしっ、それじゃ日にち決まったら知らせるわ」
「おい、望」
「はい、『焼肉』終わり! 次『幕の内』150いくわよー!」
生返事を、勝手に肯定と捉えられて慌てていると、コンベア先頭にいる社員のおばちゃんが、作業内容の変更を指示した。
「はーい」
応えつつ、コンベアにアルコールを吹き掛けて拭く一方で、『焼肉』が入ったバットを片付ける。新人に指示を出しながら『幕の内』の具材をバットに集め、手早く準備する。規定量の白米だけを盛った弁当が、続々と流れて来たので、俺達は手元の作業に集中した。
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