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望がセッティングした「飲み会」という名の同窓会は、男女取り混ぜて18人も集まった。名前を忘れかけていたヤツも、当時のあだ名を聞けば思い出せた。
「お前、望と同じ大学なんだって?」
「ああ」
すっかり日焼けしたイチローが、俺の隣席の玲士がトイレに立った隙にスルリと座った。
「世の中、狭いなあ」
妙に貫禄染みた雰囲気で、快活に笑う。確かに、大学の食堂で、望に声を掛けられた時、同じ感想を抱いたもんだ。
「お前、今、何やってんだよ?」
「見りゃ分かるだろ、実家継いでんだ。クラスの2/3は、地元で農家やってるよ」
今回出席している中にも、イチローと同じように日焼けした顔が目立つ。田舎は若者離れの過疎化が加速していると聞いていたが、頑張ってるみたいだ。
「なぁ、ハル。今年、カズの・・・・・・葬儀があるんだ。行方不明から7年だろ。8月の最後の週末、お前も来ないか?」
「あぁ……もう、そんなに経つのか」
転校が多かったから、同窓会やクラス会の類いとは縁がないものと、端から期待していなかった。だから、今回の飲み会は、事の他嬉しかった。
望と再会し、こうしてあの頃の仲間達と会ったのも、思えばカズが呼び寄せてくれたのかも知れない。
「分かった。行くよ」
「そうか。じゃ、ウチで良ければ泊まれよ。また飲もうぜ」
相変わらず面倒見の良いイチローは、俺の背中をポンポンと叩くと、元の席に戻っていった。
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