狼男だよね

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 俺の名は、犬神明。フリーランスのルポライターだ。年齢不詳、永遠の30代前半である。実のところ、俺には幼児の時に”東京大空襲”を受けた時の記憶があるわけで。この時代、その話を聞くと、大概の人間は、口をあんぐりとあけるわけで。しかし、俺のヘソの下の尻尾は、元気そのものなのである。  そうだ、言い忘れた。俺の職業はルポライター、いわゆる”トップ屋”・・この時代では、死語らしいが、俺はこの言葉に誇りを持っている・・なのだが、本業は、狼男なのだ。そして、俺の尻尾はヘソの下についているのだよ、ふふふ、参ったか。新月のころには、まあ、そこそこ人並みになってしまうが、満月期には絶好調、不死身の超人になってしまうのだ。それこそ”朝まで生えっち”も当然。もっとも、俺の攻めとテクニックに、朝までリングに立てっていられる女の子は、この地球上に存在しないことを諸君に約束しようじゃないか。  もっとも、正直言えば、妻子もちになって、その矛先が鈍っているのは認めざるを得ないのだが。特に、自分の娘と同年代かそれ以下の娘っ子には、どうしても”冷めてしまう”わけで。まあ、純国産のイタリア系エロ親父として、女の子をからかうことはしているのだが、どうも、昔のようにそれ以上の”深い関係”になることは、滅多になくなってしまったのだよ。そして、目の前の少女に関して言えば、それは、なおさらなのだった。 「あんた、生きていたんだなあ」  俺は、もちろん断って、愛飲のラッキー7を口にくわえて火をつけた。この時代、アメリカでもNYあたりなtら、日本人街”リトルトーキョー”でラッキー7は手に入るのだよ。 「犬神さんも、お元気そうで」その美少女は、静かに言った。  何の変哲もない車椅子に座り、ひざ掛けをしているが、それが玉座に見えてしまう、美しさと威厳の持ち主だった。とにかく、オーラが、違う。その違いがわからず、ただの女の子と思って軟派するバカがいたら、俺は問答無用でぶん殴り地球の裏側に吹っ飛ばしてやる。  おかしな大阪弁を使うが、大天使とでも言うしかない”格”を持った女性を俺は知っているが、この超絶美少女も、とにかく人間の格が・・俺なんかとはぜんぜん”魂の品格”が違うのだ。おたくたちにはわからないかもしれないが、俺には、わかってしまうといわせてもらおう。いかに”能天気”な俺でも、そうなんだよ。もっとも、俺の敬語が怪しいのは、勘弁してくれ。なにしろ、焼け跡育ちで、大学には行ったが学生トップ屋として名をはせ稼いできたのだからな。
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