第二章 ひとつ目の本番

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真木さんのご両親は、終始笑顔だった。 「お綺麗で物静かだし、落ちついてらして……。 朝子さんみたいな方なら安心ね?あなた」 真木さんのお母様は、私を気に入ってくれたようだった。 「ああ、そうだな」 お父様も強く頷いて優しい眼差しで私を見る。 思わず、自然に微笑み返していた。 隣に座る真木さんが、体を私の方へ寄せ 「うまくいってる。ありがと。これで、しばらくはうるさくなくなる」と耳元で囁いた。 耳がこそばゆくなって首を思わずすくめる。 そんな私の様子を見て真木さんは 「もしかしてさ、朝子さんって男を知らないとか?」と露骨な疑問をぶつけてきた。 真木さんのご両親に聞こえるんじゃないかと、焦ってご両親を窺いみる。 ニコニコと、ご両親はご両親でなにやら話をしていて私の方はみていなかった。
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