第二章 ひとつ目の本番

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「父さん、母さん、紹介するよ」 お店の真ん中辺りに位置するテーブルに、真木さんのご両親らしき人が並んで座っていた。 立ち上がる真木さんのご両親。どことなく品があって、とても優しそうな女性と、真木さんに似た顔だちの素敵な男性だった。 「米田 朝子さんだよ」 そういいながら、優しく私の肩を抱く真木さん。 男性に免疫の少ない私は、ゲイである男性に肩を抱かれても胸が高鳴ってしまっていた。 真木さんのご両親と挨拶を済ませ、料理が運ばれてくる間、隣へ座る真木さんはテーブルの下で膝の上にある私の手を握る。 緊張でいっぱいだった私の胸が、別の意味で緊張を増していく。 私は、自分の手の上に置かれた真木さんの手を反対の手でやんわりと押しやっていた。
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