1321人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
両親と別れた後、車で家まで送ってくれた真木さん。
停車させた車の中でシートベルトを外すと後部座席のコートに手を伸ばし長財布を取り出した。
「はい、今日の時給分。約3時間だから6000円」
千円札を1枚と五千円札を1枚を渡してくれた。
「じゃあ、どうも」
お金を受け取りドアを開けようとすると真木さんは、私の手を握った。
「待った。少し話しいい?」
「少しなら、いいですけど」
「あのさ、俺の事は秀俊って呼んで。付き合ってんだからさ」
真木さんは、もう一方の手を伸ばして私の前髪を整えるように触る。
髪を触られたくらいで私はびくっとしていた。
相手は、ゲイだ。私に興味がない男性なのだ。それに私は、別に真木さんを好きじゃない。
落ち着こうとすればするほど、私は焦りだし、落ち着きを失っていた。
最初のコメントを投稿しよう!