第二章 ひとつ目の本番

5/13
1321人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
両親と別れた後、車で家まで送ってくれた真木さん。 停車させた車の中でシートベルトを外すと後部座席のコートに手を伸ばし長財布を取り出した。 「はい、今日の時給分。約3時間だから6000円」 千円札を1枚と五千円札を1枚を渡してくれた。 「じゃあ、どうも」 お金を受け取りドアを開けようとすると真木さんは、私の手を握った。 「待った。少し話しいい?」 「少しなら、いいですけど」 「あのさ、俺の事は秀俊って呼んで。付き合ってんだからさ」 真木さんは、もう一方の手を伸ばして私の前髪を整えるように触る。 髪を触られたくらいで私はびくっとしていた。 相手は、ゲイだ。私に興味がない男性なのだ。それに私は、別に真木さんを好きじゃない。 落ち着こうとすればするほど、私は焦りだし、落ち着きを失っていた。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!