第二章 ひとつ目の本番

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「ま、真木さん、どう…して」 なぜ? ゲイなのにって聞こうとした。 真木さんは、鼻が触れるほど近くへ来た時に私の瞳をじっと見つめながら言う。 「きみの妹がいる」 「…え?」途絶えそうな意識の中で妹、歩美の顔が浮かぶ。 「動かないで」 真木さんの唇が私に近づく。 「会社でもプライベートでも秘密は守って。だから、今もきみの妹を欺く為に演技して」 唇が触れそうになった所で止まる真木さん。 「これぐらいで向こうにはキスしてるって見えるはず」 「?」 キス。誰と誰が? 私は、震える手で真木さんの胸を押した。ビクともしない真木さんの体。 「してほしかった?ごめん。俺、ゲイだから」
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