第二章 ひとつ目の本番

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嘘を重ねることに、凄くびくついていた。 真木さんに嘘の片棒を担がされたせいでとんだ迷惑な話だ。 「女かもね」 私の答えを待たずに歩美が結論を出した。 「真木さんが本気であんたなんかを相手にしてるとでも思ってんだ?忠告しておいてあげる」 歩美は私の目の前に来て私の顎を指先で持ち上げた。 蔑んだように見られた。 「遊ばれて捨てられないように、せいぜい頑張んなさいよ」 歩美の口からは、アルコールの匂いがした。 今日も化粧が濃い歩美。黒々としたつけまつげや、太くて長くひいたアイラインもやり過ぎな感じがする。 どんどん顔の層が厚くなっている歩美を見るのは正直息苦しかった。
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