第二章 ひとつ目の本番

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「じゃ、用はこれだけだから」 たかが、一万円そこそこのお金を手にして金銭的な満足感を得られる訳がなかった。 歩美が欲しているのはお金の金額ではない。 私から何かを取り上げる事で満足感を得られるらしかった。 幼い頃は、今とは反対になんでもくれる子だった。 私はこめかみの傷痕を触った。 あのささいな事件の後から歩美は変わってしまったのだ。
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