第三章 仕返し

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真木さんが、今思っていることなんか 手に取るようにわかる。 変な奴って思うか、 彼氏の一人も作れないなんて 気の毒って同情してる。 「そっか。 時期じゃないのかもな」 「え?」 「朝ちゃんが、彼氏が欲しいと 思える時期じゃないんだろうなって そう思った。 俺には、都合いいからさ、 どっちにしても 有難いんだけど」 そう言って前を見たまま微笑んだ。 真木さんの横顔を見て 全身の血が 顔に集まってくるのを感じた。 顔が熱い。 真木さんの同情でもなく 哀れみでもない言葉が 私の体に浸透していく。
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