プロローグ

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「俺の彼女になってよ」 「は?」 聞き間違えかと思い、確認する意味で真木さんの顔を見た。 まっすぐ向いたままの真木さんは、ルームミラーの角度を変えてミラー越しに私と目を合わせる。 ぞくっとするような妖艶な瞳に見つめられ、思わず私は、ゴクリと唾を飲み込んだ。 何か悪戯をたくらんでいる子供が瞳を輝かしているように、真木さんの瞳もかなり輝いている。 その真木さんの瞳を見て、会社の廊下で聞いた女子社員たちの噂話を思い出していた。 『真木さんの瞳に見つめられるとね、なんだか どうにでもしてっ!て気になるのー』 偶然耳にした真木さんに関する噂話が、まんざら嘘ではない気がしてきていた。
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