第2話『勇者召喚されたら、いきなりラスボスの前にいた。』

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第2話『勇者召喚されたら、いきなりラスボスの前にいた。』

 俺の引いた紙にはただ一言、『全マシ。』とだけ書かれていた。 「格好悪い名前のチートですね……プッ」 「うわ、ださっw」 「全マシって、ラーメン屋かよ! ぐはは、マジ受ける!」  ヤリチンどもが爆笑していた。やなやつらだ。ギルティ食らわすぞ。  こんなチート貰ってどうすればいいんだ? ラーメン屋でも開けってか。 「これ、能力の詳細とかは……」 『そのまんまだYO! 詳しくは向こうでステータスが見れるから自分で確認しろYO!』  ステータスあるんだ。ならいいや。どうにかなるだろ。これだってチートだ。  外れかと思ったら案外すごい能力ってのも、最近じゃひとつのお決まりになってるし。  でも『ステータスオープン!』とか言うのは恥ずかしいわ。  念じれば出るタイプを所望する。 『任せろYO!』 「…………」  俺以外の三人が首を傾げていた。神よ、心の声を読むんじゃない。  ……俺たちの役割は異世界に存在する四人の魔王を討ち倒すこと。  全部倒したら転移する前の時間に戻してくれたうえで願い事を一つ叶えてくれるらしい。  願いを叶えてくれるって言われた途端、誰も文句を言わなくなった。  俗物どもめ。いい性格したメンツが揃っておるわ。 『じゃあ向こうの王族とかが勇者召喚の儀式をやってるから。四人バラバラの国に送るYO!』  中学生はスペルマ共和国。  JKはミューカス大聖国。  ヤリチンはミエルダ王国。  俺はハルン公国。  と、それぞれ送られることになった。  なんだ、この連中とはここでお別れか。  てっきりずっと一緒に行動しないといけないと思ってたよ。俺はほっとした。  こいつらとは仲良くなれそうにないもん。 『頑張るのじゃぞ。愛しき人の子ら。儂はいつでも見守っておるからな……』  最後だけ神様っぽい口調になった神の声を聞きながら俺たちは異世界に送られていった。  普通に喋れたのか、お前。 ◇ ◇ ◇ ◇  気が付くと俺は薄暗くてジメジメした広間にいた。  大理石の壁や床、そして柱。真ん中に敷かれた真っ赤な絨毯。  多分、どこかの城の中だろう。謁見の間とかそういう感じの部屋。 『やりましたぞ、略奪召喚成功ですな!』 『むはは、大儀である。宰相ヘルハウンド。これで人間どもは最後の希望を失うわけだ』  俺の正面で嫌な感じの高笑いをしてるやつらがいた。  玉座に腰かけた赤髪の男は頭から角(二本あるが片方は折れている)が生えていて、その隣にいるやつは服は着てるけど全身毛むくじゃらで顔が犬だった。  どう考えても勇者を迎える側の連中じゃねえよなぁ……。  赤髪の男をじっと見ていると、どっかからピコーンと音が鳴る。  目の前に半透明な画面が現れた。なんか書いてあったので読んでみる。 【名前:魔王スザク】 【ステータス:魔王の資質LV4 獄炎魔法LV5 転移魔法LV5】 「…………」  勇者召喚されたら、いきなりラスボスの前にいた。
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