ペリドット

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ペリドット

ここは南の小島、青い海に白い砂浜が続く、観光客が溢れている。 私は恋人のマックスと岩場で海を見ていた。 沖をサロンクルーザーが白波を立てて進む。 「オリビア見ろよ、セレブ達が遊ぶサロンクルーザーだ」 「羨ましいね、いつか乗ってみたい」 「俺の仕事は海に潜り魚介類を捕りホテルに売るだけだから、ずっと乗れないかな」 マックスはため息をついた。 その時、サロンクルーザーが近くの岩場に向かい突進してきた。 そして岩場にぶつかった。 一人の婦人が海に投げ出されるのを見たマックスは、すぐに海に飛び込んだ。 そして婦人を助けて砂浜に運んだ。 それから警察やテレビ関係者とか集まって来た。 「オリビア、船長が酔っぱらっていたらしい」 「そうなの、怖いわね」 やがて婦人が、マックスにお礼がしたいと入院している病室に来るように連絡してきた。 私も一緒についていった。 病室で婦人は、私たちを笑顔で迎えてくれた。 「もし良ければ、事故の時に海に消えた母の形見を探してほしいの」 それは200カラットのペリドットらしい。 お礼をするからとの事で、私とマックスで海に潜る事にした。 「200カラットのペリドットなら億は軽く越える宝石だよ、お礼をたくさんもらえるな」 2人は懸命にペリドットを探した。 そして私が海底に沈むペリドットを見つけた、透き通るオリーブグリーンだ、物凄い値打ちものだ。 その時マックスが逃げろと私の背中を押した。 「サメだ」 私は夢中でペリドットを握りしめ逃げた。 しかし岩場に上がりマックスを探したが姿はない。 私は仕方なく泣きながら警察に行き捜索してもらうが手がかりは無かった。 「ペリドットが見つかっても、マックスが消えるなんて」 私は婦人にペリドットを渡しに行った、捜索費用を頼むつもりだった。 私の話を聞いた婦人は、手にしたペリドットを私に渡した。 「この宝石はね、持ち主の願いをひとつ叶える、でもね持ち主を選ぶから私の願いは叶わなかった、でもあなたなら叶うかもしれない」 「そうなんですか」 私はペリドットにマックスが無事に戻るよう願った。 「でもね願いが叶うと恐ろしい事が起きるそうよ」 「恐ろしい事ですか」 「そうよ、私の母の願いが叶った時に起きた、それはね」 その時、病室のドアが開いた。 「マックス」 入って来たのはマックスだった。 婦人が笑顔になった。 「良かった、願いが叶ったのね」 いきなり病室にオリビアの悲鳴が響いた。 ペリドットが半分に割れてしまった。 「あらあら200カラットが半分になったわね、母が願いを叶える前は400カラット有ったのよ」 「恐ろしい事はペリドットが半分に割れてしまう事なんですね」 「そうよ、恐ろしいでしょ」 私たちは100カラットのペリドットをもらった。 マックスにサメに襲われて何故助かったのか聞いた。 「それが、サメの顔が目の前に迫ってから記憶が無いんだ」 私はペリドットに二つ目の願いをかけた、マックスといつまでも幸せに暮らせますようにと。
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