二人だけのオフィス

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 それにしても・・こんなにセンスがいいのなら企画だとかセレクトだとか、いわゆるクリエイティブな仕事もできそうな人だけど、なんで総務なんだろう?よし、今日は初日だからなんでもありかなと勝手に決めつけて、質問攻めにしてやろうと口を開いた。 「中野さん企画とかの仕事に興味なかったんですか?センスいいのに、もったいないと思いますよ。それと、どうしてこの会社に入ったんですか?事業内容に興味が、なんてありふれた理由ですか?でも総務なんですよね、どうしてこの会社選んだんですか?」 一気に攻め込んでやれとばかりに質問を連打する。するとまり恵ちゃんはフッと鼻で笑ってからこう答えた。この会社に入りたかった、ただそれだけ、と。 「えー?じゃあやってる事がプロポーズのサプライズ演出じゃなかったら違うとこに行ってたんですか?」 聞かれたまり恵ちゃんは、窓から本社ビルを見上げたまま呟いた。 「なにやっててもいいのよ・・」 その横顔、その言葉。なにか意味か目的がある。それって、梶原社長?と俺は読んだ。
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