二人だけのオフィス

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 まずはこれから二人で始める新事業について、事業部長になったまり恵ちゃんから説明をうけた。商品の内容、設定金額などなど。 どうやって客を募るかと言えばやはりホームページが中心になる。それにはホームページを新たに作らなければならない。ウェブデザイナーに頼むかそれとも自分たちだけで作るか。俺はその手の勉強も独学でやったと遠慮がちに発言すると、まり恵ちゃんは二人で作ろうと即座に決めた。 「ホームページは、ハッピーサプライズとは別に作るわ、リンクははらない」 「え?でもあっちの方が知名度あるでしょう」 すでに3年で培ったものがある本社のホームページから入っていく方が効率いいだろうし件数も多いとふんだ。でもまり恵ちゃんは違うという。 「考えても見てよ。ハッピーサプライズ、よ?幸せの道しるべはできている人たちに向けての商品とは真逆なのよ、私達が作ろうとしている商品は。幸せとは縁がないかすれ違ってしまうか、そういう人たちに向けての商品なんだから、一緒にしたって売上上がんないわよ。単独で立ち上げたほうがいい」 確かにまり恵ちゃんの言う通りだと思った。幸せなプロポーズを体験できないから、疑似体験をしてみないかという提案なのだから。 「まずは世間にむけて発信しないと、私達の商品を。でなきゃ始まらない。できるだけ早くホームページを完成させましょう」 「はい、がんばります!」 めずらしく俺もやる気溢れる声をあげてしまった。俺とした事が。もっとクールにさらっとかわしてバシッと仕事をする嫌な奴になろうと思ったのに。アツい奴になっちまった。でも、まり恵ちゃんを見ていたら思わずそうなってしまったんだ。目の輝きが違うんだよ、まり恵ちゃん・・
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