第1章 神様と、私と

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《2》神様との出会い 「お疲れ様でしたー!」 「お疲れ様ー! みんな、明日もよろしくね~!」  賑わしく交わされるやり取りを耳にして、今日の仕事が終わったのだという実感がようやく湧く。  腕時計をちらりと見やると、すでに時刻は午後十時を回っていた。事務所内ではまだ仕事があって帰れないのだろう社員さんたちが、日誌を書いたりドリンク類の在庫管理の伝票とにらめっこしたり、皆忙しそうにしている。  タイムカードを押し、更衣室で着替え、バイト仲間に挨拶し、従業員用の出入り口を通る。  ……そういえば、初めて出勤した日もこんなふうに忙しい日だった。  駐輪場に停めた自転車にまたがりながら、私はふとそんなことを思い出していた。
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