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思わぬハードル
「明日、この町を離れることになった」
夏の夜、泣きそうな顔で、きみは言った
そんな顔、みたくなかった
そんな言葉、ききたくなかった
だって、きみは、もっと…
僕らは、これからも、ずっと…
「明日?なんで、もっと早く言わないんだよ!」
「きみは、それでいいのかよ!もう二度と、会えなくなるかもしれないのに」
気がつくと、自分でも驚くほど、大きな声が出ていた
「ごめん、」
「これでいいなんて、もちろん思ってないけど、もう、どうしようもないんだよ」
きみは怯えるように言って、下を向いた
「だからだめなんだよ、きみは、肝心な時にちゃんとしないから」
「だから、友達のひとりもできないんだ!」
「もういいよ!きみなんて、ずっとひとりでいればいいんだ!」
目の前で壊れそうになるなにかを、目から零れそうになるなにかを、
みたくなくて、みられたくなくて、僕は走りだした
僕が怒鳴って、きみが泣きそうになってるなんて、これじゃ、いつかと逆じゃないか
あんなこと言うつもりなかったのに
こんな終わりかたするつもりなかったのに
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