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コースアウト
本当はわかっていた
少し前から、きみが、なにか言おうとしてたこと
子供の僕らは、大人の事情に従うしかないこと
きみが、引っ越しをくりかえして、この町にきたこと
友達ができないのは、そのせいだってこと
知らんぷりをしてきたのは、僕だ
悪いのは全部、僕だ
それでも、どうすればいいのかわからなくて、
明日どんな顔で、きみに会えばいいかわからなくて、
その日僕は小さな子みたいに、お母さんに手をひかれて、家に帰った
「これやるよ、お前がなんて言おうと、お前のこと、ずっと大事な友達だと思ってるから」
次の日、きみが差しだしたのは、きみがいつもしているのと、色違いのリストバンドだった
「いらないよ、僕はそんなこと思ってないから」
最後まで素直になれない僕に、きみは、肩を落として町をでていった
あんな顔させたくなかったのに
僕だって友達になりたかったのに
あとから、どんなに後悔したって、もうきみは、戻ってこなかった
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