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華々しい芸能界でトップ・スターとして君臨し、落ち目になって一度は消え、そしてまたカムバックして。
海外ツアーも成功させる、ワールドワイドな歌手として有名人になったユウであるが、相変わらず人を集めて派手に遊ぶことは一切ない。
今もそんな生活が、ずっと続いているワケだ。
こんなユウに、友人がたくさんいる筈もない。
(オレ、今は仕事をしているからまだいいけど……ジュピタープロに移籍しないで、あのまま落ち目で引き籠っていたら、かなりヤバイやつだったな)
当時は、落ち目になったユウを心配して、とにかく聖があれこれと言って来るので、逆ギレしたユウは『干渉されるのは大嫌いだ。あまりウルサイようなら縁を切る』と絶交宣言までしていた。
後になってマネージャーの真壁から聞いたが、聖はショックのあまりに倒れる寸前だったらしい。
そんなに、自分を心配してくれている人に――――これ以上面倒は掛けられない。
それに第一、零との仲を反対されて、それでまた話がこじれるのは避けたい。
ユウは、聖が好きだ。零も愛している。
だから、この二人には険悪になるのではなく、仲良くなってもらいたいのだ。
「なんとか――――オレの手で、メモの犯人を捕まえてやる」
ユウはそう気合を入れると、マンション近くの自転車店でマウンテンバイクを購入し、そしてそのまま街へと走り出した。
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