244人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
「そうか……」
言葉の通りに、晴れ晴れしい様子の明には嘘をついている影はない。
ユウはひとまずホッとすると、本来の話に戻る事にした。
「でも、お前達が解散した事で――――被害を受けた奴等がいるんだ」
「え? 」
「そしてそいつらは、MHJでもワリを食っている」
謎かけのようなセリフに、明は少し思案するが……すぐに、ユウの言いたい事が分かった。
「まさか! 」
「ああ。そのまさかだ」
「「Innovative」」
二人の意見が合致した。
◇
Innovativeとは、かつてTriangleのサポートに入っていたバンドである。
当時、明と零と美央は歌とダンス、InnovativeはTriangleのバックバンドとして演奏を担当していた。
サンライズプロの一押しとして売り出されていたTriangleのバックバンドだったので、それなりに芸能活動も忙しく収入も安定していたようだ。
しかしInnovativeが順風満帆だったのは、そこまでだった。
Triangle解散の後はInnovativeとしてバンド活動するも人気はいま一つで、あっという間に彼らは落ち目になってしまったのだ。
だが彼らは、諦めなかった。
芸能界で何とか生き残るために、事務所の垣根を超えて、様々なバンドや歌手のサポートメンバーとして積極的に参加し、音楽活動に活路を見出そうとしたのだ。
そんな中、畠山ユウのサポートの話が舞い込んできた。
ユウは、ソロのシンガーだ。
彼は歌とギターは弾くが、自分のバンドは持っていない。
最初のコメントを投稿しよう!