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「そうか……」  言葉の通りに、晴れ晴れしい様子の明には嘘をついている影はない。  ユウはひとまずホッとすると、本来の話に戻る事にした。 「でも、お前達が解散した事で――――被害を受けた奴等がいるんだ」 「え? 」 「そしてそいつらは、MHJでもワリ(・・)を食っている」  謎かけのようなセリフに、明は少し思案するが……すぐに、ユウの言いたい事が分かった。 「まさか! 」 「ああ。そのまさかだ」 「「Innovative」」  二人の意見が合致した。    ◇  Innovative(イナヴァトリィ)とは、かつてTriangleのサポートに入っていたバンドである。  当時、明と零と美央は歌とダンス、InnovativeはTriangleのバックバンドとして演奏を担当していた。  サンライズプロの一押しとして売り出されていたTriangleのバックバンドだったので、それなりに芸能活動も忙しく収入も安定していたようだ。  しかしInnovativeが順風満帆だったのは、そこまでだった。  Triangle解散の後はInnovativeとしてバンド活動するも人気はいま一つで、あっという間に彼らは落ち目になってしまったのだ。  だが彼らは、諦めなかった。  芸能界で何とか生き残るために、事務所の垣根を超えて、様々なバンドや歌手のサポートメンバーとして積極的に参加し、音楽活動に活路を見出そうとしたのだ。  そんな中、畠山ユウのサポートの話が舞い込んできた。  ユウは、ソロのシンガーだ。  彼は歌とギターは弾くが、自分のバンドは持っていない。
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