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フゥと溜め息をついて、ユウは椅子から立ち上がった。
「そうか。せっかく舞台の稽古をしていたのに、中断させて悪かった。もう行くよ」
「すみません……せめて、ミヤビの弟の名前も聞いていればよかったんですが――――弟の方は一般人らしかったので、ちょっと分からないんです……」
「いや、いいんだ。多分、そいつはオレの近くでスタッフとして働いているんだろうし、新顔でそれっぽい怪しそうなヤツにアタリを付けて探ってみるよ」
しかし、それはそれで危ないではないか。
とっくに髪の色は赤から戻しているだろうし、犯人の容姿も含めて名前さえもハッキリしない。
第一、ユウから見せられたメモには、元Triangleの零と破局しろと書かれていた。
犯人がミヤビの弟だとしても、なんでその弟が、零と別れろとユウに言うんだろう?
敵の目的は怨恨だとは思うが――――目的が、本当に謎だ。
明はユウが心配になり、思わず引き留めていた。
「ユウさん、ちょっと待ってください! オレは舞台で抜けられませんが……代わりに、ユウさんを手伝ってくれそうなヤツを呼びますよ」
「手伝う? オレを? 」
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