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「そういうわけじゃないけど、この間お母さんから電話きて、結婚しないのかって聞かれた。そんなん言われたの初めてでさ」
「さすがのおふくろも、近田さんの結婚が決まって何か思うところあったんだろ。陽に言わずにはいられなかったんだろうな」
まぁそうだよね。気持ちはわかる。今まで何も言われなかったのがおかしいか。
「結婚なんて、頑張らなくとも出会うときに出会って自然とそうなるだろ、とは思うけど、陽の場合は自分で尻に火をつけないと始まらないかもな。そのままぼーっとしてたら、40、50あっという間だぞ」
妹のこと、よくわかってらっしゃる。
「私、集団での合コンとか婚活パーティーみたいなのだけは苦手で。お見合いとか紹介の方がいいなと思って」
「まぁでも、妹さん紹介してと言われたことはあるな。よく知らないから相手の保証はできないけど」
「そうなの? そんなお話があるのなら是非会ってみますのでお願いします」
「好みとかどんなタイプが好いとかは?」
「タイプとか分からない。とりあえず一緒にいて疲れない穏やかな人かな」
「陽、これまでまともに男と付き合ったことあるのか?」
「あ、あるよ。お兄が知らないだけだよ」
「ふーん」
なぜ兄相手に見栄を張っているんだろう。さっきから。
まぁとりあえず分かったと言われて電話を切った。
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