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「深谷さんて、彼の同期とか私の同期の間でも人気あったと思うんだけど、誰一人、近づくことができなかったっていう」
「え? そんなにですか??」
「好意をみせたとしても交わすの上手だし、告白すら瞬殺だって」
なんとなく想像できる……。そうか、桜井さんにとっては一つ上の先輩になるわけだ。
「たまに弁当持ってくるんだけど、見たことある?」
「いや、ないですね」
「手の込んだ弁当でさ、よくある、男弁当、みたいな感じじゃないわけ」
「料理上手の彼女ですか?」
「でしょ? そう思って、我慢できずに一度だけ聞いた事あるんだけど」
「聞いたら?」
「冷蔵庫の掃除に、自分で作ってるって」
「すご! モコミチじゃないですか」
「そうなんだよ。冷蔵庫の掃除って。料理好きな男って時々いるけどもさぁ」
「生活力高い感じですね」
「多分、家事とか得意そう。深谷さんを狙うような子って、浮ついていない本気の子ばっかりなんだよねー」
「なるほど、でも桜井さん、なんでそんな事知ってるんですか?」
「社内恋愛はしないってタイプなのかもね」
「へぇー」
「渡会ちゃんは?」
「えっ、私ですか? 私は深谷リーダーのことはなんとも……」
「いやいやちがくて。深谷さんの話じゃなくて、彼氏いるの~?って話よ」
え、恥ずかしい勘違い。
だって今の話の流れ。
「いないですけど」
「顔、真っ赤ですけど」
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