最終章・これからちょっと、遠くまで side F / side W

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「大学時代、私の友人だけでも3人。だけど上手くいった子はいなくて」 「なんで? 彼女がいなかったの?」 「深谷さん自身が、女性に対して冷めてるんだよね。興味ないんじゃないの?って思うとしれっと彼女作ってたり。でも基本、愛されなくてもいい、自分が好きだから一緒にいたいってタイプの子じゃないと、深谷さんとは付き合えないっていうか」 「あーわかるー。でもそういうのって、結局続かないよね」 「うん、別れ話になったところで追いかけないし。深谷さん自身、ものすごくこっぴどく振られたこともあったみたいよ? サークル内で揉めちゃって、平然としているのは振られたはずの深谷さん本人という」 「いるいる、そういう人! 来るもの拒まず去る者追わずじゃん、まさに」 「働き始めてからは、私の同僚も……」 「え? 誰ですか?」 「ああ、仲原さん達はわかんない。もう別の人と結婚して辞めちゃったし」 「……」 「同期の子は、告白したけどあっさりさっくり交わされて、かえって可哀そうだったし。あー、それから……」 「まだあるの?」 「あ、やばい。陽さんがさっきから黙ったまま固まってる。眉間にシワ……」 「だ、大丈夫だよ、陽」  いや、わかる、わかるんだけど、  冷めてる?  なんか今聞いてる人と、私の知ってる深谷さんが、一致しないというか。 「冷たいとか、思ったことないなぁ」 「陽さんが酔っ払って潰れた時も、かなり怒り狂ってましたからね」 「じゃあ多分、年を取って、丸くなったって事かな」 そう言うと、八重嶋さんが首を横に振った。 「だから、渡会さんは深谷さんにとって本物ってことでしょ? なんだよ」 「……」
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