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今日は、奏一郎君の車で遠出だ。
あれから何度か、送り迎えなどで助手席に乗せてもらう機会はあったけれど、こんな風に一緒にドライブに出かけるのは初めて。
私とつき合う前は、一人で気晴らしにいろんな場所に行っていたらしい。だから今日は私にとって、待望のドライブ日和。
「彼氏の車で遠出とか、これは、なかなかに良いね」
ままごとのように恋を、今を楽しんでいる私を、楽しそうに見ていてくれる。
「なにか、CDとか曲かける?」
「今時CDじゃないから」
「ああ、プレイヤーか、私のスマフォにも入ってる」
「飛ばして」
「何する? くるり? 『ハイウェイ』?」
「お。定番きた」
今日は、私の誕生日の仕切り直しらしい。
また、新しい春が始まる。
「ねぇ、そういえば私、四年以内に恋愛結婚して、三人子どもを産むらしい」
「なにそれ」
「眞子と行った占いで」
「まぁ、子どもは授かり物だから、どうなるかわからないけど、大恋愛結婚ってところは、いいね」
大恋愛って。
「そっか。相手のお顔も見えてますよって言われた」
「間違いないでしょう」
何気ない、くだらない会話が続く。
まだ少し肌寒いけれど、晴天。気持ちよい風が窓から入ってくる。
信号待ち、運転の空いた左手を伸ばして、手をつないでくれた。
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