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「美味しそうですね」
「一人暮らしだと、野菜とか余っちゃうんだよね」
「自炊してるんですか?」
「外食か、基本は家ですね。買った惣菜とかはあまり食べる気にならないから」
「お忙しいでしょうに、すごいですね」
「一人分だけだし。すぐ作れるやつだから」
深谷リーダーは、仕事の時はカッチリ敬語なのに、仕事を離れるとそのカチッとした敬語が少しだけくずれる。
私はにやにやしながら、桜井さんに報告しなくてはと思った。
なぜかちょっと楽しくなり、わくわくしていた。
***
「あの占いすごい。当たる。怖い」
今日は会社の同期、仲原 眞子と、会社近くの定食屋で夕御飯を食べている。
例の占いを一緒に見てもらった友人で、仕事を通して知り合った。
何でも話せてまったく気取らなくていい。
お互い言いたい放題のではあるが、私にとってはそれがとても居心地が良い。
遅くなってごめんと、誕生日のプレゼントを渡される。
「彼氏!?」
「……そう。つき合い出して二週間くらいかな。びっくりだよね」
「え、あの占い師から、年下の男・灯台下暗し・今までと違うタイプ、とか言われてたよね?」
「そう、だから……」
「年下なんだ?」
眞子はこっくりと頷いた。
「良かったねぇ! どんな人なの?」
「弟の友人。昔から知ってる熊みたいな大きな人。体育会系でわりと賑やか」
たしかに、眞子が今までにつき合ってきたタイプとは全然違う。
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