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じゃがじゃが
「では、喜びの声を一言、どうぞよろしくお願いします。」
「み、みなさん、え、選んで下さりどうもありがとうございます。」
司会者の隣にいたじゃがいもが、恥ずかしそうにそう言った。
「今年の五月祭の女王は、メイクイーンのアイリーンさんに決まりました。
みなさん、温かい拍手を!」
皆からの拍手に、アイリーンは頬を染めた。
「おめでとう!アイリーン、きっと、あなたが優勝だと思ってたわ。」
「私もよ。だって、あなたの皮はこんなに薄くて、でこぼこもないし、メリッサになんて負けるはずないわ。」
ジョアンの聞こえよがしの悪口に、少し離れたところにいた男爵の女子たちは目を吊り上げた。
「私たちは、メイクアップなんてしなくても、元々の形が良いんだもんね。
男爵たちとは違うわ。」
「なんですって~!」
「ジョアン、言い過ぎよ。」
お互いの友達に押さえられて、メリッサとジョアンはなんとか離れた。
「やぁ、アイリーン。
おめでとう。」
「マ、マキシム!」
マキシムは、じゃがいもの国一番のシェリー種のお坊ちゃまだ。
初めて声をかけられたアイリーンは緊張し、周りの女子たちはそんなアイリーンを羨望の眼差しでみつめる。
「おめでとう、アイリーン。」
「ミゲル!」
振り返ったアイリーンの目の前には、じゃがいもの国一番のイケメン、インカのめざめのミゲルがいた。
「アイリーン、いいなぁ。」
「羨ましい~」
じゃがいもの国は、今日も平和だ。
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