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「そ、そんな…」
「君がもし、俺の擽りで笑い転げてくれたなら、君の俺への愛は本物だという証明になると思うんだ…赤野。
いや、トーコ」
彼は、ギュっと私の手を握った。
真剣な眼差しに、私はたちまちポーッと逆上せあがった。
「は、はいカチョー…いえ、アキトさん。
わっかりました」
トーコは愛を証します。
アナタの為ならば、笑い死んでも見せましょう!
「じゃあ…」
「ちょっと待った!」
イソイソと動き出した彼を、私はサッと手で止めた。
「私もね、アナタの愛を知りたいんです。
だから……
私にもやらせて?ね、ね?」
私は彼に詰め寄った。
…フッフッフ。
私だっていつまでも、貴方のペースに乗せられているわけではないのデスヨ。
夫と妻の関係は、
常にギブ・アンド・テーイク!
ところが彼。
「ああ、構わないよ。順番、ジャンケンにする?」
意外にも平気そうに微笑んだ。
あれ?
まあ、いいや。
「では…」
私は
“ゼッタイ勝てるおまじない”
を済ませると、万全の体制で勝負に臨んだ。
ジャ~ンケ~ン…
チョキ。
グー。
「………グウ」
「俺の勝ちだな」
…詰めが甘かった。
私はこの時、いつも最初にチョキを出す事を彼に読まれていた事に、全く気がついていなかったのだ。
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