731人が本棚に入れています
本棚に追加
で、夫婦の寝室___
バスルームから出てきた彼が、カチャリと扉を開けた。
来た!
鏡台の前でお肌のお手入れをしていた私は、サッと立ち上がった。
少し驚いた顔をした彼に、勇気を出して話を切り出す。
「あ、あのね、アキトさん。実は…ちょっとお話があるんです」
「____何?」
アンニュイな様子で聞き返す彼。やはり、相当疲れているよう。
「あの…これからの…例のことなんですけど…」
「な、何だよ。急に」
彼は、少しだけ顔を赤くする。
あー、
私からこんなこと言うのも、やっぱり変なカンジだよね。
なんか、ドキドキしてきた。
「あのね…その、いつも無理しなくって、いいのデスよ?」
「え…」
彼が目を見開いた。
「あの、いつも…辛そうだったから」
「トーコ。知ってた…のか、俺が無理してたこと」
大きな目をさらに大きくした彼に、私はコクンと頷いた。
モチロン、私はアナタ様を見つめ続けておりますゆえ!
心の中で祝福の鐘が鳴り響く。しかし私は大和撫子、なるべく淑やかにそれを告げる。
「ええ…私に気を遣って、ずっと我慢しててくれたの…わかってました」
彼は、恥じ入るように目線を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!