731人が本棚に入れています
本棚に追加
話はA.M.7:00、彼の出社時刻に遡る。
私達、何と言っても新婚さんの蜜月期。
出社前には、
「行ってらっしゃ~い、アキトさん」
「ああ」
ほっぺにチュッ♥
などという、恥ずかしい行為を今だにやっている。
しかし今日。
いつも同じように、儀式を執り行っていたところ、彼がとんでもない事を言い出した。
「……何か、違うな」
「はい?」
「そろそろ俺たち、結婚してひと月以上も経つんだしな…」
ベッタベタにベタベタするのはもう止めよう、と言うことか。
私は、寂しい気持ちでいっぱいになった。
というのも、私達は電撃結婚夫婦、恋人期間ゼロからスタートしたため、パートナーとしても日が浅い。
ましてや私、彼と結婚するまで殆どカレシがいたこともなく、超久しぶりにカレが出来た気持ちだった。
もう少しイチャついていたかったのに…
ついついウルッとキてしまう。
でも…そうだよね。
くっつきたいって気持ちには、個人差があって当然。
ましてや、かつては何人ものお嬢さんと、いけないお付き合いをしてきた彼だ。
あんまりベタベタされるのは、イヤだったのかもしれない。
泣きそうになるのを、何とか上向いて涙を留めた私。
だが、次の瞬間___
「マウス・トゥ・マウスだろ」
ドン引きした。
最初のコメントを投稿しよう!