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露骨に目を逸らされたことに、カチンときて言ってしまった。
「ほら、そういうところですよ! そういうところが感じ悪いんです!」
いつもならこんなこと言わないのに口が止まらない。
「私、何かしました? 何か嫌がられるようなことしました?」
「別に……」
「どうすればいいんですか? 言ってもらわないとわかんないじゃないですか。言ってもらったってわかんないですけどね!」
そこまで言って、私はチューハイをあおった。前田さんがぎょっとした顔で私を見た。気がついたら涙腺が緩んでいた。
「そんな綺麗事言われたって、はい、そうですか、なんて言えるわけないじゃないですか。バカにしてんのか! なんなの一体……なんだったの私……」
後から感情が押し寄せてきて、涙が溢れてしまった。
「うっ……」
涙を腕でぬぐうと、横澤さんがハンカチを貸してくれた。
「すみません」と言って借り、横を向いて顔を覆った。
「先生ー、前田君が高木さんを泣かしました-」
「は!? 俺のせい?」
「いや、前田君のせいだね」
「うん、前田君が悪い」
「そうですね」
「菅野まで何なの?!」
嗚咽する私の肩を、「よしよし、つらかったね」と横澤さんがぽんぽんと叩いた。
「なんかあったのかな。変だったからみんな心配してたんだよ。高木さんどうしたのかな、って」
優しい言葉をかけられて、胸が熱くなった。余計に涙が止まらなくなった。
「言っちゃえ言っちゃえ」
「大丈夫、悪いのは全部前田君だから。高木さんは悪くない」
「そうだよ、吐き出しちゃいな」
前田さんは黙ったままどうこう言わなかった。
それらの言葉に甘えて、私は透と別れたことを話し出した。
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