晴天

1/12
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
オーダーされた料理を両手に持って、7番テーブルに運んでいたときだった。 首元に違和感がある。 今すぐ確認したいが、両手は塞がっている。 バイト先のレストランは、昼の一番忙しい時間だった。お盆休みということもあって忙しい時間が通常より長い。料理をテーブルに置くと「すみませーん」と次の注文の声がかかる。 声をかけられたテーブルへ向かいながら、首の後ろをブラウスの襟から手を突っ込んで確認する。ぎくり。 ネックレスがない。 慌てて服のどこかに引っかかってないか探したかったが、レストランの昼の戦闘時間はそんな余裕を与えてくれず、私は不安なまま過ごすしかなかった。 休憩時に確認したら、スラックスに入れたブラウスの裾の空間にとどまっていた。留め具を確認したが、特に壊れているわけでもなかった。なぜ外れたのだろう。 彼氏の(とおる)にもらった誕生日プレゼント。 嫌な感じがした。 彼は帰省中だった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!