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油っ気一つない、黒い髪。
精悍な顔立ち。
痩せてはいるものの、その身体は筋肉質で、キュッと引き締まっている。
井上さんの身体に回した両腕にうっすらと浮かび上がる“血管”は、私を興奮させるには充分なモノだった。
「ってか、見入ってる場合じゃないじゃない、アタシ!
先生!
先生、呼ばなきゃ!
学校で“こんな事”してるなんて、ありえないから!」
興奮する胸の内をどうにか抑え、私は先生に目の前で起こっているモラル無視の行為を報告しに行こうとした。
すると、教室の外で興奮しきっている私の様子に気付いたのか。
中の男は、井上さんとの“行為”をやめると、ツカツカと不機嫌な顔をしながら、真っ直ぐに開いた窓の隙間から様子を覗き込んでいる私の方に近づいてきた。
「覗いてんじゃねーよ、バーカ」
男は私に言い放つと、バンっと、音を立て力強く窓を閉めた。
この、数分間のあまりの非現実な出来事に混乱した私は、しばらくの間呆然と立ち尽くしたまま、その場を動く事ができなかった。
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