1470人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前的にも皆に対しても、そうした方が結果的にいいと思ったんだよ」
自嘲気味に語るリュウヤの口調は、この上なく平淡な声だった。
「お前を抱いた、あの夜。
この幸せな時が、永遠に続けばいいと思った。
このままずっと、お前と二人でいられたらどれだけ幸せか、って思ったよ。
けど、それは見ちゃいけない幸せだった。
くるみの為とはいえ、俺は『ルームサービス』なんてバカげた行為を、やってきた訳だからな。
だから、死のうと思った。
死ぬ事によって、自分のしてきた過ちを清算出来るかな、なんて考えたりしたんだよ。
まぁ、本当のトコロを言うと、くるみが死んで自分の生きる意味を見失ったっていうのが、一番大きいんだけどな……。
後ろ指をさされながら、必死こいて金を稼いできたけど結局くるみは死んだだろ。
そん時、俺。思ったんだよ。
今まで俺は、何やってきたんだろ。
俺のやってきた事は、ひょっとしたら無駄だったんじゃないか、ってよ」
リュウヤはここまで言うと、間を繋ぐ為なのか髪をかき上げる。
「後、さっきも言った通り、俺が自ら命を断とうって考えたのは、お前の為でもあるんだけどな」
「……アタシの?」
「あぁ」
視線を落とし、力ない目で私を見つめると、リュウヤはさらに語る。
最初のコメントを投稿しよう!