1470人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺と付き合う、ってなれば、お前が大変な目に合うのは、火を見るより明らかだからな。
女の嫉妬、って俺ら男が思ってる以上に陰湿なモンだしよ。
もちろん、お前から見れば俺のこの行動はバカな考えと思うだろうよ。
ようやく、お互いが結ばれたのに、なんで逃げるようにアタシから去っていくの、って。
実際、あの夜もお前は『考えすぎなんだよ、アンタは』って言って、俺を止めてたしな。
けど、俺は考えを変える気はなかった。
色んな事を考えたら、死ぬのが最適……。
っていうか、死にたくなったんだよな。
なんか、もう疲れたって感じでよ。
お前には、本当に悪いと思ってるよ。
お前の事を好きだって言っておきながら、逃げるように死んでいくって決めてよ……。
けど、俺と付き合ったら、イジメだなんだってお前をツライ目に合わせるのは目に見えてるし、それ考えたら、たとえ逢えない寂しさを募らせても、『輝ける思い出』をお前に残して、死んでいった方がいいって思えてきたんだよ。
たとえ死んで、この身体が無くなったとしても、お前の中で『思い出』として俺は生きていける。
そう考えれば、死ぬのも何か怖くなくなってきたよ。
どうせ、人はいずれ死ぬし、それが少し早くなるだけだしな。
けど……」
ここでリュウヤは、まるでろうそくの火が消えるように突如話すのをやめた。
「けど?」
私は顔を上げ、リュウヤを促す。
最初のコメントを投稿しよう!