・立花センパイ

2/9
前へ
/446ページ
次へ
「めぐみ、おはよう……。 って、どうしたの、目が赤いよ?」 朝、学校へ着くなり、親友の千夏が驚いた顔をして、私に話し掛けてきた。 そりゃ、明け方まで起きていれば、目もウサギみたく、赤くなる訳だ。 (おかげで、今日遅刻しそうになったし) 「ちょっとね……」 寝グセの気になる頭をかき分けながら、私は言葉を濁す。 まさか、昨日隣のクラスで、変な光景を見たから眠れなかったなんぞ、仮に親友であっても言える訳あるまい。 「何? ひょっとして、恋患い? だったら、紹介してあげようか、林? アンタ、この間サッカーしてる林くんって何かカッコいいな、とか言ってたよね?」 「あれは、あの時だけ。 今は、林くんにそんな感情一切持ってないよ。 ってか、安心して。 恋患いなんて、ガラじゃないから、アタシ」 私が答えると、千夏は「ふ〜ん」と含みのあるような言葉を残して、席へと戻っていった。
/446ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1469人が本棚に入れています
本棚に追加