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「ねぇ、千夏。
立花センパイって人、知ってる?」
購買部でパンと野菜ジュースを購入し教室に戻ると、幾度も脳内でリピート再生される「立花センパイ」の姿に耐えきれなくなった私は、思わず千夏に訊いた。
「何、めぐみ?
さっきから、何か様子が変だなっと思ってたら、立花センパイの事考えてたの?」
私の言葉を聞き終えた千夏が、露骨に眉を寄せる。
「いや、そういう訳じゃないんだけど、ちょっと気になって……」
私は咄嗟にごまかしたが、どうやら千夏には通じなかったみたいだ。
さすが、小学校から友達として付き合ってきただけある。
「まぁ、あんまし関わんない方がいいと思うよ」
千夏は私に対し、訝しげな視線を向けながら言った。
「知ってんの?」
謎の「立花センパイ」について、何一つ知り得ていない状態の私は、つい身を乗り出して尋ねてしまう。
「まぁ、少しだけどね……」
千夏は紙パックのミルクを一口飲むと、肩をすくめながら語り始めた。
「林から聞いたんだけど、立花って人。
結構、チャラい人みたいだよ。
その『立花センパイ』って人、林と一緒でサッカー部にいたんだけど、部活をやめてからは、前以上にチャラくなっていって、言い寄ってくる女の子に手をつけては、
『俺、彼女作る気ないし』
とか言って、冷たくあしらうみたいなのね。
後、変な噂も色々聞いてるし……」
「変な噂?」
私は野菜ジュースを飲むのをやめると、千夏を促す。
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