3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
うまれたての歯車
彼らと出会ったのは、5年前のことだった
彼は、たまたま道で会った私に、
自分は会社員で、住むところを探している、
どうか、なにも訊かずに、部屋を貸してくれと言った
変な人だと思ったが、なんだか断れなくて
私は言われるままに、彼を自分の部屋に案内した
あのとき、あの子はまだ、赤ちゃんだった
ひとり暮らしの小さな部屋だったから、
同居というか、居候のような形になったが、
彼は文句も言わず、よく働いた
仕事をして、帰ってきたら、洗濯をして、
私は、仕事をして、その他の家事をして、あの子の世話をして、
支えあって暮らすうちに私たちは、本当の家族のようになった
みんなで食卓を囲んで、たわいないことで笑いあう
あの頃は、本当に楽しかったな
最初のコメントを投稿しよう!