- epilogue -『日常』

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◇格差 「よいしょっと、、、ふうっ」 フロアに積まれた段ボールを下ろしては開封し、次から次へと品物を出すキセに俺は呆れて物申した。 「毎日毎日、何から何までネット買いか。 どうでもいいが、以前買ったドローンや仕事で使ったものの費用は経費で落とせよ」 もちろん生活費の全てを面倒見るつもりではいる。 ただ、やたらと届く荷物の出費が今のところコイツにかかってるので助言したまでなのだが。 「はあ。 ですが水無月さん。 僕は『ジャングル』への支払いをしていないので、経費の精算は水無月さんの方でまとめてお願いできますか?」 俺に見向きもせず、キセはあちこちの箱を覗き、何やら探しながら言った。 「支払いをしてない? 、、、それはどういう、、、」 「あっ、これこれ! 早速届いてますよ、水無月さん!」 キセは嬉しそうに大量のローションが詰まった段ボールからそのうちの一本を取り出し、 「これがあれば連日 夜の営みがスムーズに運ぶのです」 俺を見上げてふやふや笑った。 「味しめてんじゃねぇぞ。 発情期のサルじゃあるまいし」 「僕が蜂の子を買っている養蜂園からのローヤルゼリー、 『エンドレス ナイト エキストラ』も届いてます。 水無月さん、これは年に数本しか生産されないレアなものなのです。 一瓶5万円でしたが、体力を使う水無月さんの代わりに買っておきましたよ」 5万、、、『代わりに』だと? 「おい」 「はい?」 「お前、、、 ジャングルでの買いもん、誰のアカウント使ってんだ?」 瓶を開封しようとするキセの手首を掴んで止めた。 「水無月さんのパソコンにアプリがありましたので、そこから。 しかし『ジャングル』は全くもって大したものです。 ほとんどの商品がわずか1日で届くのですから」 「俺のパソコン触ったのか? ロックは?」 「必要に迫られ(・・・・・・)、致し方なく解除を」 「んでもって人のアカウントで買い物か? 身内でも不正アクセス禁止法違反だ、バカ天才」 さらに嫌な予感がした俺は、カウンターにあったラップトップを起動させ、カード会社のアカウントにログインして請求額を確認した。
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