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「金額はどれくらい?」
「最初は三万、二回目は五万、一昨日は十万寄付しろと言ってきた」
「払ったのか?」
「ああ、払った、払わねえと出世が遅れるって抜かしやがった」
「なぜ払った?」
「お前さんもよく知ってんじゃねえか、お祝いもらったし、五十過ぎてから出来た子でな、可愛くてしょうがねえんだ」
「ああ、覚えているよ、最後に見たのが幼稚園の時だがもう成人とはな」
小杉は娘の写真を見せた。青い作務衣で仲間と楽しそうに炊事をしている写真である。
「金の振り込み先と一緒に送って来た写真だ」
「振込依頼書を見せて欲しい」
小杉が財布から「これだ」とテーブルに差し出した。宛名は『竹中アーシャ・青い導き』とある。
アーシャ、どこかで聞き覚えがる。遠い昔、いや夢の中の登場人物。
「竹中アーシャというのが名前らしい、銀行で聞いたけど教えてくれないなやっぱり」
「今は架空口座は作れない、竹名アーシャは本名だろう、確認書類が必要だから間違いないだろう。続く青い導きが宗教団体名かもしれない。よしこれと娘の写真を貸して欲しい」
「俺はどうしたらいい、女房も心配で眠れんらしい」
「振込は二度としないこと、電話が合ったら金を渡すからと言って待ち合わせをすること。そうだな私の事務所がいい。奥さんにはよく眠るように言ってくれ。次郎さんにはガキの頃虐められたからその分調査費は高くつくよ」
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