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 今年一番の冷え込みを感じ、直樹はコートのポケットに手を入れた。町のイルミネーションがキラキラと輝き、もうすぐクリスマスなのだと心を浮き立たせた。  次のクリスマスは彼女と過ごす最後の日になるだろう。忘年会が終わった次の日、里佳子は直樹のアパートにやってきた。  そして初めて泊まると言い出した。 「帰ったほうがいいよ」 「なんで? いつも泊まらないの? って言うじゃない」 「ごめん」 「私のことが嫌いになったの?」 「そうじゃない」  里佳子にも二人の終焉がやってきていることはわかっていた。悪あがきのダメ押しは重々承知の上だ。長く付き合ってきて彼女は直樹のことをよくわかっているつもりだったが認識が甘かった。普段、自分の言うことを柔軟に受け入れて聞いてくれるのに今回ばかりは全く懐柔されなかった。 焦った里佳子は直樹の首に腕を絡ませてキスをしようとした。直樹は目を閉じずに口づける彼女の顔をじっと見るが唇は開かない。  そっと肩をつかまれ顔を引き離された。 「もう抱かないの?」  下を向いて里佳子は尋ねた。 「そのほうがいいだろ」  直樹は静かに答えた。 「私、帰らないから」  強引にベッドに入って布団を頭からかぶり、里佳子は唇をかんで泣いた。
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