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 朝は直樹のほうが先に目を覚ました。里佳子はうつ伏せでまだ眠っている。そっとベッドを抜け出して朝食の用意をした。  トーストを焼きオムレツを作って花柄のプレートにのせていると里佳子が起きだしてきた。 「おはよ。ん? いい匂い。ご飯作ってるの?」 「うん。もうできたから座って」  パジャマのまま里佳子は座り、目の前のオレンジジュースを飲んだ。少し頭がはっきりしてきたのかふうっと息を吐き出して、肩を上げ下げして目をぱちぱちさせた。 「オムレツなんか作れたの?」 「まあ、一応」  へーっと感心しながらフォークで割るととろっと半熟の部分が出てきた。 「上手いじゃん」 「ん。今朝はうまくできたよ」  目を丸くさせて里佳子は口にオムレツを運ぶ。 「いけるいける」 「よかった」  コーヒーを差し出しながら直樹は微笑んだ。  珍しく食事を平らげて里佳子は「おなかいっぱい。ごちそうさま」と満足そうに言った。 「よく食べたね」 「んー、なんか、ね。おなか空いてた」  照れ臭そうに彼女は言う。 「なんかさ。三年も付き合ってたのに直樹がご飯作れるなんて知らなかった」 「そうだっけ」  確かに里佳子からの振る舞いを受けるだけで、直樹から与えたことはなかった。
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