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僕は彼女との別れを認められなかった。
発端は何だろう、あまりに悲しくて記憶が混同しているけど、確か些細な喧嘩が発展したようなものだと思う。
そんなことで彼女を失いたくなかった。
だから僕は彼女の家に行ってもう一度話しに行こうと決めた。
だが、また直接彼女の口から別れを言われることに耐えられるのだろうか。
両親にはまだ話していないとのことだったので、変に誤解されたりしてしまわないだろうか。
僕は躊躇した。悔しい。
僕の心はなんでこんなにも弱いんだ。
そんな僕なら何ができるだろう。
まずは、電話でいいからかけてもみよう。
ライン電話で僕は彼女に電話をした。
しかしつながらない。
時間を空けて、もう一度かけてみる。
しかしつながらない。
一度でいいから、彼女の声が聞きたい。
そんな思いが打ち砕かれる。
せめて、何か返事をもらえたら。
だから僕は彼女にラインをした。
「昨日はごめんね、そして僕もあまり覚えていなくて申し訳ないんだけど、
一度お話しできませんか?連絡待ってます。」
なにか返事をくれるだろうと思った。
ところが、一日たっても来なかった。
どうしたら、返事をくれるのかを僕は考えた。
あまりにしつこくするのも気が引けたので、1日1通と決めて、思いをつづったものをラインで送ることにした。
ラインをするとその瞬間は満たされた気分になる。
だが、そのあと、すぐに返事が来ないかとそわそわする。
不安になる。
麻薬のようなものだ。
今思えばこれでも十分にしつこかったのだが、当時の僕にはそこまでを考える余裕はなかったみたいだ。
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