108人が本棚に入れています
本棚に追加
ー 美香、君は僕と出会えて幸せだった?
君はこれから、僕と恋に落ちるんだ。
準備しておいて。
今迎えに行くからね。
この先どんなことが待ち受けていようとも。 ー
美香との出会いは、大学のサークル勧誘で声をかけたときだ。
今年は暖かくなるのが早く桜は散り始めていた。
それとは対照的に、
大学は新入生とサークル勧誘をする上級生で賑わっていた。
上級生はなんとかサークルに新入生を入れようと必死である。
僕はその中の一人である。
新入生は新しい大学生活に胸を躍らせながら、歩いてくる。
見てるこっちが癒される。
僕も初めて大学に来た時こんな感じだったっけ。
そしてその中に美香がいた。
背が高く、すらっとしていて大人っぽいが、
周りをきょろきょろしてあどけない感じが伝わってくる。
これは新入生の感じだ。
周りの人へも礼儀正しく対応している。
こんなにかわいい人がいるのか。
彼女の美しさに一目惚れした僕こと新里亮太は、
ダメもとで彼女をサークルに誘うべく、声をかけた。
「こんにちは。
どこのサークルに入るかはもう決めてるの?」
僕は、美香を不安にさせないよう注意を払いながら、声をかけた。
「こんにちは~。まだ決めてないんですよ。
テニスサークルに入れたらいいななんて思ってて。」
美香は笑顔で応えてくれる。
何ていい子だ。
そしてこれはチャンスである。
僕はテニスサークルに所属している。
テニスサークルは全部で8つあるのだが、まだどこも勧誘していなかったようだ。
「それだったら、僕の入っているテニスサークルの話少し聞いてく?
それと一緒に大学の授業の履修登録の手伝いするよ!」
新入生は大学の授業がどんなものか分からないため、授業の登録をしてもらえるのはとてもありがたいことなのだ。
「そうなんですか!それだったらぜひお話しききたいです!」
美香は満面の笑みで言った。
やった!と心の中で叫びながら、サークルの場所まで連れていく。
あくまで僕の仕事は勧誘である。
だからそのあとは他のサークルのメンバーに引き継ぐ。
「すごくいい子でかわいいから、絶対に入れてね!」
「任せて任せて、私は美香ちゃんと同じ学部だからいろいろ教えてあげれるし。」
頼もしい仲間を持ったもんだ。
そう感じながら、僕はこの場をあとにする。
そして他のサークルメンバーの勧誘の甲斐もあって、
美香は無事僕のサークルに入った。
これから幸せな大学二年目がはじまるんだ。
僕はこれからの大学生活に淡い期待を込める。
名前は美香っていうのか。
少しでも仲良くなれたらいいな。
このとき僕はラインを毎日一方的に送り続ける日々が来るなんて想像もしていなかった。
まず、ラインの連絡先知らないし。
そして、美香とは特に進展もないまま夏が終わった。
美香と深くかかわるようになったのは、
美香が同じサークルのメンバーにフラれてからである。
最初のコメントを投稿しよう!