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「幽霊? 恐い話かよ」
季節的には最適だが、よりによってこんなタイミングでかと思いながら、俺は苦笑を返す。
「嫌いじゃねぇだろ? あいつさ、家族で海に……てか、その海の近くに従兄弟が住んでて、そこへ夏休みを利用して泊まりに行ったらしくてよ。そのときに体験した話だって、教えてくれたんだ」
俺の呆れたような呻きへ、肩越しに視線を返しながら渋沢は話を続ける。
そして、
「で、その体験ってのがな――」
足を止めることはしないまま、聞かされたという怪談を語り始めた。
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