第六話:首なし死体

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 で、その道走って帰ってたらさ、峠のてっぺん近くまで来た辺りに急なカーブがあって、そこを曲がってすぐの路肩にね、人が(うつぶ)せになって倒れてるのが見えて、おれびっくりして慌ててブレーキ踏んだわけよ。  それから一度バイク停めて、恐る恐るその人がいた場所まで戻ったらさ、どういうわけか、何にもなくなってて。  あれ、おかしいな。今確かにここに人がいたのにって思って、一応周辺も確認したけど、やっぱりいないんだよ。  だから、気のせいだっかなぁって無理矢理納得してまたバイク乗って発進したんだけど、五分くらい走ったらまた急カーブがあって、そこ曲がった瞬間……路肩にさっき見たばかりの人が同じように倒れてるの見えてさぁ。  しかもそのとき、おれはっきり見ちゃったんだよ。  その倒れてる人、首から上なかったの。  色は灰色っぽいボロ布みたいな服着てて、その胸元、真っ赤になってて。  さすがに何かおかしいぞこれって思って、もう二回目は確かめには行けなかったな。
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