第七話:峠のテケテケ

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 やっぱり隠れスポットというだけのことはあって、その日は天気も良いのに誰も夜景を見に来てる人はいなかったんです。  こっちとしてはその方が好都合ですから、ゆっくり楽しめるしラッキーなんて思って、一人でぼんやり眼下に広がる景色を眺めていたんですけど……。  十分も過ぎた頃でしたかね、周囲にはポツンと一つ、弱い光を落とす外灯があるだけで、他に人工物と呼べるのはパーキングの標識とガードレールくらいしかない場所なんですけど、急にペタッ……ペタッ……って、何て言うのかな、湿った手で床を叩くような変な音が響いてきたのがわかったんです。  山ですし、周りは木々も多いですから、猿とか何か野生の動物が近くにいるのかもしれないと少し警戒しながら、こっちもジッと耳を澄ましてその音を聞いてたんです。  そしたらその音、自分のいる場所に近づいてきてるみたいで、だんだん大きくなってきてるのがはっきりわかったんですね。  それで、気味が悪いなとは思いつつも、こいつはいったい何だろうって気にもなりまして、そのまま立ち尽くした状態で様子を窺い続けていたんですけど……。
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